杏と言えばフルーツ、食用のイメージが強いでしょう。
加工してジャムに利用することも多く、身近な食材と言えます。
一方で、杏の種はオイルにも利用されます。
肌にハリやツヤをもたらし、使い続ければイボもキレイに・・・と美肌への働きを押し出した製品が多く見られます。
杏にそれだけのチカラがあるのでしょうか?
杏の持つ成分から肌に対する有効性をチェックしてみましょう。
あんずと杏仁
杏はバラ科の植物で梅やスモモに近い種類です。
そして杏仁は杏はアンズ、仁は種や種の核を指しています。
杏仁と聞いて真っ先に思い浮かぶのは杏仁豆腐でしょう。
杏仁には生薬としての効果があるため、三国志の時代から治療に用いられてきたと伝えられています。
しかし苦味があるため口に合わない人が多くいたようです。
そこで、粉末状にした杏仁と牛乳などを使って食べやすく加工したデザートが登場します。
杏の果実の種を使った薬膳デザート、それが杏仁豆腐です。
あんずと杏仁の持つ効能
当サイトは美容をテーマとしているので、杏仁の効能も美に限定したものを取り上げます。
大きく分けると2つ。
杏の果実に含まれる抗酸化作用と杏の種子の核から抽出した杏仁オイルによる美肌効果です。
果実のチカラ「抗酸化力」
杏の果実には多くのβカロテンが含まれています。
βカロテンは一部が体内でビタミンAに変換される物質で、主に眼精疲労や皮膚や粘膜の維持、さらにはカラダを若々しく保つための抗酸化力(アンチエイジング効果)を持っています。
杏は果物の中ではβカロテンの含有量がとても多く、ピーマンやほうれん草といった野菜と同レベルとされています。
杏仁のチカラ「保湿力」
杏のもうひとつのチカラが、種の核部分、すなわち杏仁が持つ肌への作用です。
杏仁には高い保湿力があるため、美肌を作るために有力とされています。
そのため、杏仁を使ったスキンケアオイルが杏仁オイルやアプリコットオイルとして製造されているのです。
その保湿を担っているとされるのが、次の脂肪酸たちです。
パルミトレイン酸
若さの脂肪酸と呼ばれており、赤ちゃんの肌には大量に存在しているものの、加齢とともに減少していくとされるのがパルミトレイン酸。
テレビ朝日系列で放送された「林修の今でしょ!講座」でもナッツの効果を取り扱った際にパルミトレイン酸の効果効能が紹介されたため、ご存知の方も多いかもしれません。
※パルミトレイン酸はマカデミアナッツなどにも含まれています。
赤ちゃんの肌があれほどモチモチふんわりとしているのはパルミトレイン酸が肌にハリやツヤをもたらすため、と言われているのです。
保湿効果も高く肌のターンオーバーを促す役割も示唆されています。
また、パルミトレイン酸のカルシウム塩が黄色ブドウ球菌やアクネ菌を短時間で効率よく死滅させるという働きも持っています。
このブドウ球菌やアクネ菌は、肌荒れやニキビが出来る一因とされていることからパルミトレイン酸を含むスキンケア用品には肌トラブルへの対処に期待が持てるということになります。
リノール酸
肌の表面には、表皮細胞より外側に角層細胞とセラミドと呼ばれる細胞間脂質が存在しています。
そのセラミドの構成成分となっているのがリノール酸。
表皮の外側に存在するセラミド(リノール酸)は、肌を乾燥や刺激・老化・角化症などから守る働き(エモリエント効果)を持っています。
言ってしまえば、肌を美しく保つために保湿やバリアの役目を担っていることになります。
オレイン酸
食用油ではオリーブオイルに含まれている成分で悪玉コレステロールを減らして善玉コレステロールを維持してくれるため健康情報番組で度々取り上げられ注目を集めています。
また、スキンケア用品として見ると乾きにくい油なので保湿効果が高いことが知られています。
肌だけでなく髪にも適しており枝毛やパサつきに効果的なことから広く利用されています。
人のカラダにとても馴染みやすい成分と言えます。
その他の成分
杏仁の保湿効果に関係していそうな成分をピックアップすると上の3つが挙げられるでしょう。
これ以外にも杏仁には含まれる脂肪酸にはステアリン酸やパルミチン酸がありますが、こちらは保湿というより肌への浸透力をアップさせたり、オイルとしての働きをサポートする、オイル自体を酸化から守る役目を担っています。
杏仁オイルでイボ対策
杏仁オイルの購入で一番多いのは、イボ対策用と言えます。
イボ対策の主な根拠は、上で説明した成分による肌を乾燥させない保湿効果や肌の殺菌効果により肌環境を整えターンオーバーを正常化しイボの土台を自然な流れで剥がし落とすというものです。
杏仁オイル自体にイボに対する即効的で特殊な働きがあるというわけではありません。
気になるイボに杏仁オイルをたっぷりと塗って、ゆっくりと優しく軽く回すように2~3分のマッサージを行うことがポイント。
ゴシゴシと擦るようなマッサージは逆効果になるのでやめましょう。