グルテンフリーダイエットが流行の兆しを見せています。
このダイエット方法は食生活からグルテンを無くすというものですが、実は効果があるのか無いのか専門家の間でも意見が分かれています。
確かに、グルテンフリーダイエットが与えてくれる恩恵や作用を調べてみるとダイエットに繋がる根拠がハッキリしない点は多いようです。
そこで、そもそもグルテンとは何なのか?という説明と賛否ある専門家の意見からグルテンフリーダイエットについて考えてみたいと思います。
グルテンとは何か
グルテンとは、小麦粉に含まれるグリアジンとグルテニンという2つのタンパク質が元になっています。
小麦粉水を加えて捏ねる(こねる)ことで、2つの成分がグルテンへと変化します。
パンや麺類などは、まさに小麦粉を原料に(他にもたくさんの材料を使いますが)水を加えて捏ねることで生地を作りますからグルテンが含まれた食品ということになります。
本来のグルテンフリー
グルテンフリーは、本来グルテンを原因とする疾患の治療のために用いられる考え方です。
セリアック病、グルテン過敏症、小麦アレルギーといった症状が対象になります。
当記事は、病を扱うものではないので説明は省きますが簡単に書けば次のようなものです。
- セリアック病
- グルテンにより小腸の粘膜に炎症が起こる病気。栄養の吸収が阻害されることで体に様々な変調が現れる
- グルテン過敏症
- グルテンに対する反応が過敏になることで体に様々な変調が現れる
- 小麦アレルギー
- グルテンに特定されず、小麦そのものにアレルギー反応が現れる
グルテンフリーダイエットが登場したワケ
本来は病気への治療方法であったグルテンフリーが、なぜダイエット方法として広がり始めたのでしょう?
グルテンフリーダイエットの火付け役となったのは、ミランダ・カー、レディ・ガガ、ノバク・ジョコビッチといった海外セレブの存在です。
彼ら・彼女らがグルテンフリーを取り入れたダイエットに成功したことが話題になり日本にも広まりを見せました。
グルテンフリーの効果
冒頭の通り、グルテンフリーダイエットはその効果がハッキリしていません。
科学的な根拠も示されておらず、本当にダイエット効果があるのかは専門家や医療関係者でも意見が分かれているのが実情です。
それを念頭に置いたうえで、肯定派・否定派それぞれの意見からダイエットにおけるグルテンフリーの是非を見て行きましょう。
肯定派の意見
グルテンフリーダイエットを肯定する意見を見ると、痩せる理由として次のようなものが挙げられます。
グルテンは体内の消化酵素で分解しきれないので腸の粘膜に炎症を引き起こす可能性があります(セリアック病)。
また、グルテンの元になっているグリアジンは血糖値を急激に上昇させる働きがあると言われています。
逆にグルテンフリーにすることで、腸の粘膜が安定しGLP-1(血糖値を下げるホルモン)やPYY(食欲を抑制するホルモン)の分泌が安定します。
血糖値が下がれば脂肪が付きにくくなり、食欲の抑制も脂肪になるエネルギー摂取を抑えることができます。
これがグルテンフリーにおけるダイエット効果の理由とされています。
テレビの情報番組などで取り上げる際には、体質改善して太りにくく痩せやすいカラダにしようといったキャッチーなコピーが画面を踊っているようです。
反対派の意見
少なくとも日本国内においては、反対意見を表明する医療関係者の方が多数のように見受けられます。
その理由として、グルテンフリーはあくまで小麦由来のグルテンが引き起こすアレルギーなどの症状に対して有効な方法であり、グルテンフリー自体にダイエット効果は期待できないだろうという指摘です。
ダイエット効果が見られるという意見については、糖質制限ダイエットと混同されているためだろうという見方が強いようです。
糖質制限とは、文字通り炭水化物や糖類などカロリーのもとになる糖分の摂取を制限するダイエットです。
グルテンはパンや麺類の原材料のひとつである小麦に含まれています。
グルテンが小麦、つまりパンや麺類に含まれると言われれば消費者はどのような行動をするでしょう?
その製品にグルテンが入っているか否かよりも、パンや麺類の摂取を控えようとするのではないでしょうか。
グルテン自体の摂取ではなく炭水化物を摂取する機会が減って糖質制限ダイエットに繋がってるだけというのが否定派に見られる意見です。
グルテンフリーは謎が多すぎるダイエット方法
以上、賛成派と反対派の意見を挙げてみました。
あまり多種多様な意見を挙げることができませんでしたが、医療関係者やダイエット関連の専門家の意見のみに絞ったためです。
また、専門家の意見自体はダイエットのみならず健康面にも言及されていますが、ここではダイエット関連のみをピックアップしました。
つまり、現在確認できるグルテンフリーのダイエット作用に対する意見を集約すると今回挙げたような意見に終始します。
科学的に根拠が示されていない以上、例え医者でも簡単にダイエットの効果があるのかどうかを言及するのは難しいのだろうという印象です。
このような根拠がハッキリしない状態であれば、無理にグルテンフリーをダイエットに用いる必要は無いのでしょう。
時間をかけてグルテンフリーに適した食品を探すくらいなら、1日の食事から炭水化物を減らす糖質制限を始めとする別のダイエット方法を実践したほうが手っ取り早いのではないでしょうか。
当サイトでは、過去に様々なダイエット方法を取り上げていますので是非ご覧ください。